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ニュートン・バイオキャピタル、エディットフォース株式会社に追加投資

ニュートン・バイオキャピタル、エディットフォース株式会社に追加投資 

PPRタンパク質プラットフォーム技術を基にしたDNARNA創薬研究を支援

ヨーロッパから将来性のある日本のライフサイエンス分野に投資を行うベンチャーキャピタルのニュートン・バイオキャピタル(Newton Biocapital I Precaf Privee SA; ベルギー、ブリュッセル設立; マネジング・パートナー アラン・パルトゥーンス) は、日本のベンチャー企業で独自のDNA・RNA編集技術に基づいたRNA創薬研究に焦点を当てるエディットフォース株式会社への追加投資を行いました。

ニュートン・バイオキャピタルは、エディットフォースが本年5月と6月に実施した総額約1000万ユーロ(約13億円)の資金調達のうち、リードインベスターとして約308万ユーロ(4億円)を投資しました。この投資により、エディットフォースは、研究・開発パイプラインの推進、強化、並びに基盤技術のさらなる充実を図ります。

エディットフォース株式会社(福岡県、福岡市; 代表取締役 小野 高) は、2015年に九州大学の中村崇裕教授により設立されました。独自のPPR(pentatricopeptide repeat)タンパク質プラットフォーム技術の開発を行っています。他のDNA編集技術とは異なり、DNAの編集のみならずRNAの編集が可能な点が世界に類のない技術です。その技術を基とし、幅広い範囲の応用が見込まれています。2017年からは、創薬分野に注力し、現在複数の製薬会社・バイオベンチャーと提携を組みながら、PPRの応用で医薬品開発に向けた研究を推進しています。

エディットフォースの小野高代表取締役は、「バイオテクノロジーやライフサイエンス事業への豊富な投資経験と実績を持つニュートン・バイオキャピタルより出資頂けたことを大変嬉しく思います。弊社は独自の遺伝子編集プラットフォーム技術を有し、特に異常RNAを自在に編集できることに優位性があります。既に遺伝疾患モデル動物における有意な薬効データを取得しており、今回の資金調達を機に、更なるデータ取得及びパイプライン充実などを進めて参りたいと思います」と述べています。

ニュートン・バイオキャピタルのアラン・パルトゥーンス マネジング・パートナーは、次のようにコメントしています。「日本の大学から生まれた世界クラスの有望なテクノロジーを支援できることは光栄です。 日本のライフサイエンスとヨーロッパの資金調達を結び付けることは、大きな将来への可能性を秘めています。ヨーロッパと日本の強みの相乗効果により、エディットフォースのPPRタンパク質技術による革新的な創薬研究と治療の開発が可能になります。慢性疾患の治療を必要とする世界の人々の健康と生活の質の向上に貢献できると確信しています。」

ニュートン・バイオキャピタルのインベストメント・ディレクター ヤオ・リのコメントです。「エディットフォースの独自の遺伝子編集プラットフォーム技術は、DNAに加えてRNAを編集することができます。 最近RNAスプライシングに異常のある動物モデルを使って、PPRタンパク質技術が遺伝性疾患に適用できることが実証されました。将来的にはRNA創薬分野で、大きな市場性を秘めていると信じています。最終的には、CRISPR-Cas9とは異なるソリューションを提供出来ると考えています。」

ヨーロッパと日本の投資パイプラインを強化するために、ファンド運用・管理会社であるニュートン・バイオキャピタル・パートナーズs.r.l.(本社ベルギー、ブリュッセル)は、2018年から設置していた東京オフィスを日本法人に格上げ登記し、ニュートン・バイオキャピタル・パートナーズ合同会社(東京都中央区;日本代表 鈴木貞史)を今年(2021年)4月に設立しました。

鈴木日本代表は、「エディットフォースの素晴らしい飛躍を応援し続けたいと思います。また、これからも他の世界に羽ばたくべき日本のバイオファーマ技術とニュートン・バイオキャピタルの財務的な支援とをつなぐ機会を拡大していきたいと願っています」と述べています。


参考

エディットフォース株式会社 

EditForce, Inc.

PPRタンパク質プラットフォーム技術を基にしたDNA/RNA編集技術の開発及び医薬品の研究に特化するベンチャー企業です。2015年5月15日に設立。代表取締役 小野 高。福岡県福岡市中央区天神1-9-17 福岡天神フコク生命ビル4階。2021年6月25日時点の資本金489,999,240円。

https://www.editforce.co.jp

PPRタンパク質プラットフォーム技術

PPR Platform Technology

エディットフォース株式会社が持つPPR(pentatricopeptide repeat)タンパク質プラットフォーム技術は、幅広い範囲の応用が見込まれています。遺伝子編集プラットフォームにより生み出されるPPRタンパク質は、植物に存在するRNAとDNAに配列特異的に結合することで、遺伝子の発現制御を行っていきます。PPRタンパク質はヒトや酵母にも存在し、同様の機能を有しています。

PPRの存在に着目したのが、エディットフォースの前代表取締役社長(現在科学顧問)の中村崇裕教授と八木祐介博士らの研究チームです。彼らは、PPRタンパク質が、DNAとRNAの配列特異性を決定するメカニズムだと明らかにし、標的とするDNA・RNA配列に結合するタンパク質を作成する技術を確立しました。

PPRのもう一つ画期的な面は、酵素タンパク質と結合することです。細胞内外問わず、標的ゲノムやRNA を自在に操作、改変することを可能にします。

ニュートン・バイオキャピタル

Newton Biocapital I Pricaf privée SA

日本の著名なライフサイエンスベンチャーキャピタリスト、故竹田悟朗氏と現マネジング・パートナー、アラン・パルトゥーンス(Alain Parthoens)の二人によって、2017年にベルギーで設立されたベンチャーキャピタルです。ヨーロッパの主要国と日本において、慢性疾患の予防と治療に関わるバイオテクノロジーやライフサイエンスのプロジェクトに焦点を当てた投資を行います。リードインベスターとしての役割を保ち、リスクを軽減しながら有望なアーリーステージのプロジェクトからレイトステージにあるプロジェクトを支援しています。ニュートン第1号ファンドの運用規模は1億1300万ユーロ(約147億円)で、 投資ポートフォリオ企業総数12社のうち日本のベンチャー企業3社を含みます(2021年6月30日現在)。